メールシステムを、Office365に引っ越しする(移行する)手順

2/13/2021

Exchange Online Microsoft 365 Office 365

メールシステムをOffice365に切り替える際にしたい際にいつも使っている手順を、備忘録兼ねてまとめてみました。

現在365ではないシステムでメールを利用していて、それをあるOffice365のテナントに移転する、というシナリオです。ドメインは継続利用したいし、メールアドレスも変更しないというシナリオです。




概要

ざっくり、以下の流れで行います。

・Office365テナントにドメインを登録、必要なDNSレコードを登録します
・テナント内から、あらたにに登録するドメイン宛のメールが旧メールサーバーに送信されるよう設定します
・アカウントを作成します
・クライアント環境に設定します(メールアカウントの設定)
・Xデーに、プライマリのメールシステムを365に切り替える

という感じです。



テナントにドメインを登録、必要なDNSレコードを登録します

まず、365テナントにドメインを登録しましょう。詳しくは割愛しますが、365テナントにドメインを登録する手順は、こちらにまとめています。



ドメインを登録した後、必要な各種DNSレコードを追加登録します。

DNSのMXレコードは変更しません。変更すると、外部からのメールが旧サーバーではなく、Office365のメールに届くようになってしまうためです。MXレコードの変更は、Xデーに行います。ただし、MXレコードのTTLは短めに変更しておくとXデーの切り替えがラクになります。

SPFレコードは、既存のレコードに今回のOffice365用の記述を追記しましょう。間違っても複数行にしちゃダメです。 SPFレコードの記述とルールについてまとめてみましたで、少しまとめています。


テナント内から、登録したドメイン宛のメールが旧メールサーバーに送信されるよう設定します

また、このままではOffice365から新しいドメイン宛のメールが旧メールサーバーではなくテナント内に配信されるようになってしまいます。テナント内にドメインがある場合、外部ではなくテナント内に配信する仕組みのためです。
ただしく旧メールサーバーに届くよう、必要な設定を追加します。


登録したドメインは信頼済みです(承認済みドメイン)→このドメイン宛のメールは通常とこなるルールで処理します(ルール)→このルールではこの経路(コネクタ)を利用します、という流れになるのですが、逆から順に登録します。


1.コネクタを作成します。
Exchange管理センター→メールフロー→コネクタからコネクタを新規作成します。

項目 設定
メールフローのシナリオ Office365から組織のメールサーバー
名前 任意の名前
コネクタを使う時期 [メッセージをこのコネクタにリダイレクトするトランスポートルールが設定されている場合のみ]
ルーティング方法 現行のメールサーバーのFQDNで設定(IPでも可)
接続 できればTLSだけど、問題がないなら[信頼された証明機関によって発行済み]でも可

保存して、テストして、ちゃんととどけばOKです。(失敗と出るケースもあるけど、届いていれば大丈夫)


2.ルールを作成します
Exchange管理センター→メールフロー→ルールからコネクタを新規作成します。
メッセージの受信者が今回のドメインの場合(この受信者 - 次のドメイン)、先ほど作成したコネクタを利用するというルールを作成します。

ルールを適用する条件で当てはまるものが出てこない場合は、「その他のオプション」を選択すると表示されます。

3.今回のドメインが外部に送信されるよう設定します

Exchange管理センター→メールフロー→承認済みドメインで、InternalRealy(内部の中継)に設定し、保存します。

これで、今回のドメインが旧メールサーバーに送信されるようになります。


最後に、テスト。

旧メールシステムに存在するメールアドレス存在しないアドレスの2つを、テナント内に作成し、テナント内から送信してテストしましょう。前者は、旧メールサーバーに届いているはずで、後者はエラーメールが返ってくるはずです。

必ず、ここまでの作業は一気に行います。テナント内から旧メールサーバーに届かなため、必ず一気に行います(大事なので2回言いました)


Office365にアカウントを作成します

アカウントを作りましょう。この段階で、メールの受信以外のOffice365の機能はすべて、使えます。送信も可能です。

受信だけは旧サーバーですが、それ以外はフルに使えます。



クライアントの設定

いままで旧メールサーバーを使っていたメールクライアントに、Office365のアカウントも設定します。

インストール版Outlookを使っていれば複数のアカウントを登録できるはずです。名前が紛らわしい場合は、目印を付けるなどしてわかりやすくしておきましょう。

この段階では、プライマリーのアカウントは旧メールシステムにしておきます。


必要に応じてメールを365に移動させておきます。ドラッグ&ドロップで移動させられます。
Outlookの場合、古いメールを移動させるとアプリ上で表示されなくなる場合があります。Outlookアプリ上で保持するメールは期間で設定できるのですが、その影響で古いメールはクライアント上から消えるのです。クラウド上には保存されていますからブラウザで以下のURLを開いて確認できます。

http://outlook.office365.com

もしもの時にブラウザアクセスできることを試してもらうためにも、確認しておくのがおススメです。


Xデー移行の作業をなるべく減らすために、順次移動させておきましょう。


Xデーの作業

いよいよ、切り替え日です。

1.メールアプリの設定

メールアプリの、プライマリアカウントをOffice365に設定しましょう。


2.MXレコードの切り替え

DNSのMXレコードを、旧メールシステムからOffice365に書き換えます。切り替えた後、順次メールは旧サーバーではなく365に届くようになります。TTLは戻してOKです。


3.Exchnage管理センターの設定

承認済みドメインで、[InternalRelay]から[権限あり]に変更します。ルールとコネクタは削除しましょう。


ここまでで切り替え自体はほぼ終わりです。



Xデー以降の作業

あとは残作業ですね。

旧メールサーバーにログインできないよう設定し、SPFレコードから旧メールサーバーの記述を削除しましょう。

旧メールサーバーが使えていると、使ったままの人もいた、なんてことも・・・。



そのほか

メールのローカル部は、重複できません。ドメインが異なっていてもダメで、ローカル部は一意でなければなりません。


テナントにいままで登録されていたメールのローカル部がダブっているかは事前にチェックし、必要に応じて変更しておきましょう。systemとかadminなどは一般名詞を使っている場合は要注意。

事前に修正後のメールアドレスに変更しておいて、でも旧メールアドレスでも受信はできるようproxyのアドレスに旧メールアドレスを設定しておくとスムーズです。



365テナントから365テナントへの切り替えは、超絶面倒です。
旧テナントでドメインを削除したあと、新テナントでドメイン登録できるようになるまで最大1時間かかるなど、制約条件がけっこうあり、上記の方法は利用できません。Azure使っている場合は問題はさらに検討課題が増えます。



365以外→365であれば、基本的にはこの記事の手順で移行できるはずです。以前から画面がかわっていたりして自分の復習がてらまとめてみました。スムーズな移行の参考になれば幸いです。


参考:

Exchange Online でコネクタを作成する必要がありますか? | Microsoft Docs

メールボックスを 1 つの Microsoft 365 または Office 365 組織から別の組織へ移行する方法 | Microsoft Docs