Microsoft 365 のメール送信・受信量に対するスロットリング(流量制限)

9/20/2020

Exchange Online Microsoft 365

通常Microsoft 365 のメールは個人が使うものがメイン(ですよね?)なので、一般的なメール利用で制限がかかることは基本的にないはずです。とはいえ、システムで利用する場合はこの限りでないケースも。あまりに量が多いと、「攻撃されてないか」のために受信に制限がかかるし、「攻撃元として使われていないか」のために送信に制限されてしまうケースがあります。


1.受信しないよ!(365内のアドレス宛のメール)

1-1.一般的な制限で受信できない

メールボックスあたり、1時間に3,600通。これを超えると、配信元に上限超えているよメッセージを返すようです。差出人は関係なく、受信数で判定されるっぽい。この場合、Exchange管理センターのメッセージの追跡で確認できる。通常の個人利用で、こんなにメールを受けることはないよね・・・。

ここまでの値にならなくても、メールがメールボックスにすぐに届かず、遅れる場合もあります。メッセージの追跡でステータスが[Pending]になっているとあやしいです。詳細を確認して、[recipientthread limit exceeded]というメッセージがあると「受信メールボックスが存在するデータベースが過負荷だから、サーバーを守るため受信側で制限してます。だからPending」という状況になります。

いよいよ受信を拒否する場合は、送信元にエラーを返すようです。送信元にこんなエラーがでていると、受信を拒否してますね。

451 4.7.550 Server busy. Please try again later. (AS**)

451 4.7.550 Access denied, please try again later. For more information please go to

http://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=526653. [xxx.xxx.xxx.xxx] (AS**)

根本的にはメールボックスを複数に分けるなどして、メールボックス当たりの受信数を減らしましょう。待てるなら、しばらく待てばよいのですが、急ぐ場合はメールボックスの強制移動も一つの手です。経験上、1~2時間ぐらい。PowerShellでExchangeに接続して、以下実行してみてください。

New-MoveRequest -identity <ユーザーのメールアドレス>

1-2.IPスロットリングによる制限で受信できない

あまりに受信が多い場合、そもそもテナントに着信しないケースもあります。あるIPアドレスから大量のメールを送るなどしている場合、そのIPアドレスからのメールを一時的にブロックしてしまう機能があるようです。スパム攻撃から守るための機能だそうです。

これに該当しちゃうとメッセージの追跡にも表示されません(テナントに着信しないから当たり前ですね)。送信元にはエラーが返っています。


テナント内にしか送信しないなら、コネクタを作成するのが確実です。それが難しい場合は、「ちょっとずつ送信量を増やして、大丈夫なサーバーなんです!と覚えさせる(ウォームアップ)」あるいは「送信元IPアドレスを複数に分ける」などでしょうか。

2.送信できないよ!(365から外部へ送信するメール)

基本的には、メールボックスごとに1日当たり10,000宛先まで、1分あたり30通が基本的な制限のようです。これを超えるとメッセージの送信を拒否されるとのこと。

個人で使っているのにこの制限に引っかかることはない…と思いますが、[正当なバルク メッセージ (たとえば、顧客向けのニュースレター) ]とか[システムアラートの送信]などを送信している場合は、考慮が必要です。

応急対応としては、とりあえず待つか、そもそも、送信元アドレスを分けましょう。


システムから送信している場合は別の手段もありますので、以下まとめてみました。

1.マイクロソフトの推奨構成は「アプリからOffice365にサインインして送信する」

2.推奨構成が使えない場合で、かつ宛先がテナント内だけなら「アプリから365に直接送信する」。10,000宛先、1分あたり30通よりも制限は多いようだけど、ウォームアップさせないと、先に書いた IPスロットリングの制限受けるので、注意が必要です。

3.推奨構成が使えない場合で宛先にテナント外を含むなら、コネクタを作成して「SMTPリレー」を使う。外部ドメイン宛にもメール送信できるようですが、バルクメッセージの送信をする場合は、「サードパーティプロバイダを使う」「オンプレミスのSMTPサーバーを使うことを真剣に検討」が良いとのことです。

3.参考

Exchange Online の制限
https://docs.microsoft.com/ja-jp/office365/servicedescriptions/exchange-online-service-description/exchange-online-limits#receiving-and-sending-limits

IPスロットリング
https://social.msdn.microsoft.com/Forums/vstudio/ja-JP/27b2ffd7-66c9-4c07-b390-dfe59a52e3c4/ip-1247312525124831248812522125311246412395123881235612390?forum=exchangeteamjp

New-MoveRequest
https://docs.microsoft.com/en-us/powershell/module/exchange/move-and-migration/New-MoveRequest?view=exchange-ps

Office 365 を使用してメールを送信するように多機能デバイスまたはアプリケーションをセット アップする方法
https://docs.microsoft.com/ja-jp/exchange/mail-flow-best-practices/how-to-set-up-a-multifunction-device-or-application-to-send-email-using-office-3