オンプレミスのメールサーバーからOffice 365に移行したい。移行元がExchange Serverでなければいろいろ悩みが少ないのですが、移行元Exchange Server + Outlook という組み合わせだと結構面倒。
ちょっと引っかかってしまったので、備忘を兼ねてまとめてみました。
前提条件
ユーザーはWindowsでOutlookを利用しています。移行元・移行先でメールのドメインやローカル部には変更しないシナリオです。
移行は段階的に行うので、旧メールシステム（Exchange Server）に接続できる必要がありますし、新メールシステム（Exchange Online）にも同時に接続する必要があります。
これだけだと、なんてことはないのですがMicrosoft 365 にドメインを登録後、DNSレコードにあるレコードを追加すると大変なことになります。
autodiscoverレコードが要注意
Exchange Online を利用するためには、DNSに上記の3つのレコードを登録する必要があります。MXレコードはメールを受信するために必要。TXTレコード（SPF)はメールを送信するために必要です。
CNAMEのautodiscoverレコードを登録すると、同じドメインの既存のメールサーバーに接続しなくなる、という問題が発生する場合があるのです。
autodiscoverってなんですか？
Outlookなどメールアプリからメールサービスに接続するためには、通常受信用メールサーバーや送信用メールサーバーのサーバー名、ポート、アカウントやパスワード、などいろいろと設定が必要です。
基本的な設定内容はDocsの POP3 と IMAP4 | Microsoft Docs という記事に記載がありますが、結構面倒、です。これをユーザーに設定させるのは結構大変ですね。
autodiscoverを設定しておくと、OutlookアプリやThunderbirdなどのメールアプリでは、アカウントとパスワードを入れるだけでサーバー設定を自動化できます。アカウントとパスワードぐらいであれば入力してくれることを期待してもよいと思います。
便利ですね。
しかし、これが移行するの時に邪魔をするのです。
設定してるとどうなるの？
結論からいうと、オンプレミスのサーバーにアクセスできなくなる場合があります。移行前なのに！
詳しくは確認していませんが、Outlookアプリを起動すると
- Exchange Online ドメイン/ユーザーかを確認する
- Exchange Online の場合はautodsicverのレコードを参照してサーバー情報を上書きする
- オンプレミスではなく、Onlineのサーバーに接続することを優先する
・・・という挙動っぽいのです。
オンプレミス側のサーバーに向けた接続設定をしてたのに、突然Exchange Onlineに接続するようになってしまい、オンプレミス側に接続しなくなってしまう、のです。
怖いですね！
回避するには？
私がとった手法は、
- autodiscoverを登録しない
- Outlookアプリの接続設定は手動登録する
です。autodiscoverを設定しなければ、接続先情報は上書きされないですし、手動登録すればExchange Onlineに接続できました。
一通り移行し、ユーザーがオンプレミスのサーバーに接続する必要がなくなったら、autodiscoverを登録します。
注意点
Autodiscoverレコードを使わないで、OutlookクライアントアプリからExchange Onlineへ手動でセットアップは、サポートされていません。マジですか・・・。
"マイクロソフトでは、Office 365 の Exchange Online メールボックスへの接続プロファイルを Outlook に手動でセットアップすることはサポートしていません。 ただし、DNS レコードや自動検出レコードのセットアップ (方法 2 を参照) などの作業については、サポートしています。 したがって、サポートされている方法でアカウントをセットアップできます。"
（Docsより）
実施するなら、自己責任で、ですね。
20210515追記：続けて、一部ユーザーだけ365に切り替えてみた記事はこちらです。
参考にした資料
必要なサーバー情報記述あり POP3 と IMAP4 | Microsoft Docs
しかし、Outlookからの手動構成はサポートしていないと明示されています。 Online メールボックスに Exchange 自動検出を使用して、新規プロファイルをセットアップできない | Microsoft Docs
autodiscoverの動作は、こちらのサイトに詳しくまとめられており、何度も読み返しさせていただきました。 Autodiscover の詳細動作 | Outlook 研究所 (wordpress.com)
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