Exchange Onlineでメールが開けない、って聞かれたときにチェックしていること

9/06/2020

Exchange Online Microsoft 365

 まれに、Office 365 のメールでつながらないと問い合わせを受けるケースがあります。「なんか、メールが開けない」とうふわっとした質問が来ます。

メールを開けない、というケースでどんな切り分けをしているか、どのあたりをチェックしているか、まとめてみました。

最後のほうに送受信できない、というケースも少しまとめています。


前提ですが、PCではOutlookアプリを使っていなくて、ブラウザベースでメール利用。モバイルはIntune管理しててOutlookアプリを利用しています。PCでOutlookアプリを使っていてもおおむね同じではないかな…と思います。


1.ユーザーへのヒアリング

2.特定のユーザーだけか、Exchange Onlineに障害が出ているか

3.Exchange Onlineで障害が出ているの場合の対応

4.個別ユーザーの問題の対応

5.送受信できないという不具合

6.まとめ



1.ユーザーへのヒアリング

ふわっとした質問ではどうしようもないので、まずは具体的な質問を投げかけます。なるべく、クローズドな質問にしています。オープンな質問だと要領を得ないことがあり2度手間になりますから、なるべくクローズドな質問がベターです。


1-1.対象を特定するための、第1段階の質問


まずは、問題と、対象のメールアドレスと、問題が起きている環境を特定します。

  • 問題はメールボックスを開けない、ですか。
  • PCですか、モバイルですか
  • あなたのメールアドレスですか、共有メールボックスですか。共有メールボックスの場合は、メールアドレスを教えてください。
  • エラー画面のスクリーンショットを送ってください。
  • (PCの場合)
    • ブラウザは、Chromeですか、IEですか、違うブラウザですか
    • 問題が起きているPCで、社内システムは使えますか。
    • 問題が起きているPCで、インターネットはアクセスできますか。
  • (モバイルの場合)Outlookアプリですか

とりあえず、どのメールボックスで、どんなクライアント環境か、を特定できます。上記の質問で、ネットワークにつながっていないだけとか、認証に失敗している、なんてケースも特定できますね。共有メールボックスだとアクセス権が付与されてないなんてこともあります。


1-2.問題の条件を特定するための、第2段階の質問


ネットワークや認証に問題がなく、Exchange Onlineにアクセスできないという特定ができたところで、環境の問題か、メールボックスの問題かを特定するために、第2段階の質問をします。

  • エラー画面のスクリーンショットを送ってください。
  • PCの場合

    • 問題が起きているアカウントで、同じPCの別のブラウザで開けますか?
    • 問題が起きているアカウントで、同じPCの同じブラウザの、プライベートブラウズで開けますか?
    • 問題が起きているアカウントで、同じPCの同じブラウザで、テザリングして開けますか?
    • 問題が起きているアカウントで、正常に使えている方のPCの、プライベートブラウズで開けますか?
    • 問題が起きていない方のアカウントで、問題が起きているPCの、プライベートブラウズで開けますか?
  • モバイルの場合
    • ブラウザアクセスはできますか?
ここまで情報がそろえば、影響範囲が特定のユーザーだけの場合の条件が結構な割合で特定できます。

2.特定のユーザーだけか、Exchange Onlineに障害が出ているか

問い合わせが単発の場合は、ユーザーごとに順次対応すればよいのですが、一気に複数くる場合は別の事情の可能性があります。

365のリージョンあるいは365全体でトラブルが発生しているケースもありますが、組織内のネットワークに問題があるケースもありますので、並行して情報を収集します。

私が確認するところは主に3つ。

未確認でも怪しいかな、と思うときはTwitter検索。日本語で数が増えてるな…ってときは日本リージョンで影響が出始めている、なんてことが多い印象。日本リージョンじゃない場合はあまりヒットしないかもしれないけど。

速報性だと、Twitter検索が最速。詳細性だと365管理センターですね。

2020年8月には、OWA Light使ってるユーザーがなんかおかしい、ってことがあり365管理センターにアドバイザリー上がってました。




3.Exchange Onlineで障害が出ているの場合の対応

365自体の障害の時は、社内でそれなりに燃え上がっている状態と思います。ユーザーには、障害出てるから待ってくれ、と伝えることぐらいしかできません。

とはいえ、サービスリクエストを上げることと、検知した時刻と影響のユーザー数を控えておくこと。SLA対象になる場合に備えて、情報揃えておくことが大事です。




4.個別ユーザーの問題の対応

アカウント上問題ないけど利用しているクライアントに問題があり利用できないケースと、アカウントに問題があり利用できないケースと、に分けられる。クライアントの問題なら、業務継続する手段はあるはずなので、優先度下げやすい。

4-1.クライアントの問題

PCで、今まで経験したものだと、この3つが多かったです。ネットワーク問題は解決済という前提ですが、代替えPC渡せば業務は継続できますね。

  • キャッシュが悪さしてた → キャッシュクリア
  • サポートされてないブラウザ使ってた → サポートしてるブラウザ使って
  • ブラウザが古かった → アップデート
モバイルの場合は、多くの場合はアプリのバージョンの問題と、アプリの不具合が原因のことが多かったです。ブラウザでアクセスでとりあえず業務は継続できますね。
  • モバイルOutlookアプリが古かった → アップデート
  • モバイルOutlookアプリがアップデートできない → iOSアップデートして
  • モバイル管理のライセンスが割り当たっていない → 割り当てる
  • それでもダメ → Outlookアプリをアンインストールし再インストール 

4-2.メールボックス側の問題

まれに、メールボックス側に問題があるケースが。経験したことがあるケースだとこのあたりでしょうか。
    
  • メールボックスがない(アドレスが違う、ライセンスが割り当たっていない)
    • 正しいアドレスでアクセスしてもらう(共有メールボックス)
    • Exchangeのプランを割り当てる(アカウントのメールボックス)
  • メールボックスにアクセスが集中してる(問題が出て、なんどもリロードしてたとか)
  • メールボックスにアクセス権がない
    • アクセス権の有無を確認する。
    • 一度外して再付与し、24時間程度まってもらう。
ライセンスが割り当たっていなかったというケースを私は経験したことはありませんが、どのExchange のプランが割り当たっているかは念のため確認しましょう。




5.送受信できないという不具合

ここまでの話と毛色が違うのですが、送受信できない、と言われたらメッセージの追跡から状況を確認した上で対応しましょう。
  • トランスポートルールでブロックされているケース
    • 受信できるよう、トランスポートルールを見直しする。
    • ルール通りだから受信できない、と回答する
  • 受信スロットリングの影響を受けているケース(ごくごく稀ですが)
    • PowerShellの New-MoveRequest -identity <ユーザーのメールアドレス> でメールボックスを移動させる。
    • メールボックス当たりのメール受信量が多すぎるから、メールアドレス別途作成し、宛先分割してもらう。



6.まとめ

レアケースはありますが、ユーザーからの問い合わせは「開けない」「送受信できない」がほとんどですので、これらを確認すればほとんどの場合、特定できます。もしこんなケースに遭遇した時の参考になれば幸いです。